ベクトルの擦れ違い
もしくは感情の流れ
そんな気がした。
多分、好意(LoveでもLikeでもそれ以外でも)は確かに有ったのだろう
絡み合う感情が、行方不明寸前だ
君が好きだった、と思うんだ
そんな譫言みたいな話
颯刃は勇音が好きだ
無論、友好の意で、だけども
ただ、それは有る意味普通じゃ無い気がして
受け入れきれないような……
「俺の感情は総無視なのかよ?」
そんな言葉で簡単に世界が終わるような感覚
目眩みたいに足元が覚束無い
「……重い」
「ごめん。じゃあもう言わない」
言わないから
一生、言わないから
嫌い、に、ならないで
勇音は思う
どうにもこの親友は普通じゃ無い。
それは彼が置かれた環境が起因で、
それは彼の傍らには常に歪んだ存在が居るからで
「友達に、なって欲しいんだ」
あの告白は多分、精一杯の感情
「俺、勇音が好きだよ」
裏も疚しさも無いから、想ったままの言葉は
痛い
から
拒否した、だけ
簡単に崩れる世界に、傷むそれを
棄てきれないのは何でだっけなぁ?
「やっと、楽しめそうだったけどな」
金色の隙間から覗く赤い目が残念そうに揺らいだ
「俺を、選ぶなよ?」
それは貴方の意志
私は、貴方を選ばない
初めまして、さようなら
重ねた掌を、握り締めた
白い髪が、靡く
彼女は何か言いた気に視線を向ける
「貴方は、一体、誰なの?」
そんな疑問ばっかり聴いていた
窒息しそうな程に揺れる感覚
心地良い様な波が響く
「もう、会えないの……?」
初めて、生きてみたかった、なんて
そんな叶わない理想が確かに有った。
彼奴の隣で彼女が笑っていた。
風に揺らぐ緑と白
まぁ、それで良いんだろうけども
細い指先が彼奴の髪に触れる
交差する緑と赤
まぁ、それが妥当なんだろうけども
やり場の無い感覚と行き場の無い俺。
つまり、これは醜いような一人芝居だ
好きだよ、うん
本当に
本気だよ、うん
間違い無いって
でも、君は受け入れてくれない
見抜かれてるんだね
本当は、愛してないよ、なんて
「嫌いだ」「死ね」
なんて暴言
それは多少不快になる
でも、離れようとは思わない
「お前なんて嫌いだ」
知ってる
被虐嗜好なんて無いが、楽天的な通説が頭を過ぎるから
別に俺は嫌いじゃないんだ
何も言わない言葉と真逆な
その目が、気に食わない
口から溢れてしまう暴言
嘘は無いが、真実だけでも無い
居るだけで結構不快な彼奴を促せば
「俺は好きだが?」
馬鹿馬鹿しいにも程が有る、ので
感情任せに蹴り飛ばしてやった
感情なんて、誰にも解らないよ
ねぇ?