人柱アリス(闇表)/11

 王の青年はかつて、その父に殺されかけた。
 元来、この国の王家の者には、ヘカという強大な魔術の力が宿り、それをもって国を統一していた。
 ある時、前代未聞の爆発的なヘカをその身に宿した子の誕生が囁かれるようになる。そして、国の賢者の予言通り、産まれてきた子には凄まじい力が備わっていた。
 だが、子が17の誕生日を迎えた日に、父はある決意をする。
「許せ我が息子よ。お前の存在は私にとってあまりにも…脅威なのだ…。」
 真夜中の暗い寝室で父は子の首にゆっくりと手をかける。唾を飲み込み、その穏やかな寝顔を目に焼き付ける。そして、力を入れる、瞬間、
「父…上……?」
 父の殺気に気付き、子は目を覚ました。
 父は一瞬ひるんだが、そのまま性急に彼の首を締めあげた。
「ぅ…くっ!父上…!?な…ぜ!」
「ワシはお前を殺さねばならぬのだ!!」
「どうして!国民から絶大な信頼を受ける父が…なぜ!…なぜ俺を殺そうとするのですかっ…!」
「貴様の力が、あまりにっ…あまりに危険だからだ!!」
 子には、生まれながらにして膨大なヘカが宿っていた。だが子が父と呼ぶこの王には微弱なヘカが体内に宿るのみで、ほとんどその力を使わずに国を治めてきた。王は自らの任期を終える前に、この子は自分を越え、我が屍の上に大成をなすだろうと、そう思っていた。それを認知し、自らもまた喜んでいた、はずだった。
 しかし、
「近いうちに王位はあの世継になるらしいぞ。」
「へぇ……。まぁ、予想はしていた、かもな。」
 王は聞いてしまった。外で見張りをしている憲兵たちの会話を。
「予想していた?」
 兵の片方が聞き返す。もう一方はあぁと言って神妙に頷いた。
「今の王は魔術による統制を嫌うというが、風の噂じゃ使えないなんて話だぞ。」
「!おい侮辱も大概にしろ。王に向かって何を…」
「そういう噂があるってだけだ。」
 それを聞いた王の心には得体の知れない何かが渦巻きだす。はじめはほんの少し。しかし、白紙に落とされた黒点は見る見るうちに肥大し、それは嫉妬という自らの子に抱くのにはあまりに醜悪な感情になっていった。なぜ自分にはない力が息子に…。王は子のみに宿された神の力を妬んだのだ。
「すまぬ、我が息子よ!」
「やめてくれ!父上っ…!」
 子は無我夢中に闇を探り、抵抗できる何かを手にする。そして、、子はそれを父に、振った。

 父の手が弛む。

「………?」

 汗で額に張りついた髪が気持ち悪い。

 子は固く閉じていた目を恐る恐る、開いた。



「……父、上……?」



 そこには、首のすぐ横から大量の血を流し、床に伏した…父の、姿が…あった。
 子は自らの手に握ったそれを見る。そこにはまだ生暖かい血液が付着した…短剣が握られていた。
「俺が……父上を……?」
 突き付けられた現実に子はただ絶望する。不可抗力といえど、自らが父に手を下してしまったことは何物にも変えがたい事実。だが同時に、実父からの殺意を目のあたりにした子の背中には、得体の知れない寒気のようなものが駆け上がる。冷たい霜柱がびっしりと背中に立っているような不思議な感覚だった。彼はそれを振り払おうと頭を何度も左右に動かすが、微動だにしない絶対零度の悪寒は離れていく様子を見せない。
 これは後悔の念?父への詫びようのない懺悔?
 そこで子は気付く。この自分に取りつくまがまがしい感情はそんな純粋なものではない、と。
 そしてそれは、自らを殺そうとした父への…憎悪、だった。
「はっ……はははっ」
 彼はそこで涙を流す。が、口から漏れるのは、まるで正反対の乾いた笑いだった。
「孤高の王、父上もまた欲にまみれたただの人だったということか……くくっ…」
 彼はどこか陰のある笑いを漏らしながら、父の亡骸に足をかけ、ごろりと床に転がす。
「気高き皇帝が愚者になんて笑えるぜ、なぁ父よ。」
 彼が人を信じられなくなったのも、この時だった。
 若干17の青年を取り巻く環境が平凡であったなら、彼はさぞやすばらしい世継の王となれていただろう。だが、彼に宿ったあまりにも非凡な力がそれを妨げ、彼から幸福な人生と、たおやかな人格を奪い去ったのだ。
 翌日、夜明けとともに青年はマハードという臣下に先王の遺体を押しつけ、葬れと一言だけ告げた。
 マハードはその状況にしばらく驚愕していたが、彼は取り乱すこともなく、承知しましたと、ぽつりと言った。青年の衣類に付いた血から彼は全てを読み取ったのだ。
 青年が先王を殺害した事実を唯一知るマハードは、国の混乱を避けるために、先王の生存をほのめかし、民には秘密裏に王位継承の儀を行ったと告げて、急遽世代を交替することになった新たな王を認めさせた。
 そして、王となった子は他者を誰一人として信じず、自らの意に反するものは容赦なく斬り捨てていくのだった。

拍手レス☆

11/30 11:44 桃丸様

ふぉおおお!!!初めまして桃丸様!!というかブログは毎日のようにチェックさせていただいております!(ストーカーですみません)いつか話し掛けよう話し掛けようと思っていたのですがなかなか一歩が踏み出せず先を越されてしまいました桃丸様の描くイラスト崇拝、いやむしろ桃丸様を崇拝しています!(重すぎる愛/すみません)私の書くものに萌えだなんてもったいないお言葉!ありがとうございます!!未熟な文章でいつもこんなものを載せていいのだろうかと不安なので感無量です…!>Д<。
拍手本当にありがとうございます!






拍手をくださった方ありがとうございますヾ(^o^)ノ

砂の国眠る王(闇表)

今日NHKの11時からやる児玉トラベルという番組でエジプト特集だそうです☆

この番組は司会者の児玉きよし始め、タカトシ、あとゲストもおもしろいので自分的にはすごくおすすめです

以下感想です。

まずエジプト名物としてコシャリが登場^^
いままでゆぎおサイト様とかで「コシャリ」と言っている顔芸は何度か見かけたんですが、エジプトの食べ物だということを初めて知りました(^-^)


さて次は、トラベラーズ、チェック!

・ガイドがピラミッド内で解説してはいけない。
→中が混雑してしまうために内部での説明はNG
事前に説明を聞くか、自分で調べておく必要があるそうです。へぇ(゚o゚)

・大きい荷物の持ち込み、内部撮影禁止
→中はとても狭いので大きい荷物はダメらしいです。撮影は向こうは厳しいですよね

・砂を持ち帰るのは法律違反!
→きちんと罰則つきで禁じられているそうです。エジプト行ったら持って帰ってきたいですよね……。うーん…


そしてやっぱり行ってみたいのは王家の墓!
基本的にnatsumeはミイラとか時代の流れで風化した建物(ピラミッドやパルテノン神殿など)が好きなのでいろんな意味をこめてすごく見てみたいです
2、3000年も前の人の体が原形をとどめているなんてすごくないですか?!


今回の児玉トラベルはお土産の紹介とかがあまりなくて残念でした
いつもならコダマくんが紹介してくれたりとかするんですが……あれ?



追記に闇表駄文
すごく長い&少し危険


「人柱アリス/11」近々のっけたいと思います。遅くなってすみません
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もみじVS.天パー

拍手ありがとうございます!\(^ワ^)/




友人と、

遊戯と銀さんについて論争をしました。

友人曰く、
「銀さんは天パーで目が死んだ魚だけど、情に熱いしちゃんと助けにきてくれるしかっこいい!でもあれ(遊戯)の髪は……。」

私「なんだと!いいじゃん!確かにイカれた髪型してるけど!それがかっこいいんだって!!」

友「かっこいい〜!?でもなんか睫毛とか(おそらく闇様)刺さりそうだしー。」

私「刺さるwwどこに刺さるんだよwwwだいたい銀さんだってまともな髪型してないだろ!!」

「あれは天然パーマだからいいの。」




会話が………………不毛だ。OTL

創作小説バトン

▼創作小説バトン

創作小説を取り扱ったサイトまたはブログを運営している方に色々質問してしまうバトンです。

アンカー可。
お暇な方、まったりゆったり解答しちゃって下さい^^

※20〜22は03でBLもしくはGLを取り扱っていると解答した方のみ解答してください。

01:お名前は?
>>natsumeです。

02:サイト(又はブログ)名を教えてください。
>>壁に耳あり

03:BLもしくはGLを扱っていますか?
>>はい。

04:年齢制限はありますか?
>>そこまでのものは…。それに任意なので年齢制限はないです

05:ご自分の考える年齢制限の基準を簡潔に教えてください。
>>それは…。官能的というか、エロ、があったら18禁ですかね?

06:現在連載中、もしくは完結した長編小説は何本ありますか?連載中の小説が無い場合は短編小説の掲載本数を教えてください。
>>二本です。前ブログも含めれば七、八本です。短編はちょこちょこ。

07:その中で最も気に入っている小説のタイトルを教えてください。
>>「人柱/アリス」「恋人を射ち堕とした/日」「PS.愛してる」

08:そのタイトルの由来は?
>>ほとんど曲名からですネーミングセンスが悪いので(とりあえず検索避け)

09:主人公の名前は?
>>あ、これオリジナル?あ、創作だからか!あー、そっかー…あー……
基本的に版権なのですが、昔「黄泉(よみ)」ってので書いていた気がします。(うろ覚え)

10:現在のページ数を覚えているかぎりで教えてください。(連載小説をお持ちの方のみ)
>>10です。

11:キャラクターの名前をつける時、気を付けていることはありますか?
>>うーん常に適当だった気がします

12:気に入っている名前を紹介して下さい。また、由来があれば教えてください。
>>困ったなぁ…。えーっと、「闇鴉(やみからす)」ってのもいたような気がします(ポ●モンかよ!)
あ、あと!「大豆」と「小豆」ってのがいました!
二人とも双子で極道なんだぜ!だけどだいずはオタクであずきは腐女子なんだ!わけわかんねぇ設定だよな!しかも父さんがファザコンで母さんが毒舌なんだ!ホントわけわかんないなこの話!笑
なぜ私はこんなものをww
それを本気で書いてたんだから中二病って恐いよなwwあ、今もか……OTL

13:文章を書く際に気を付けていることはありますか?あれば教えてください。
>>早さですかね?次の瞬間に何か事態が起きたことをなるべくテンポよく書くようにはしているのですが、「瞬間」「刹那」「その時」が増えると少しうざいですよね(そうなってしまっている現実OTL)

14:小説内に♪υΣ等々の記号は不要ですよね?
>>私はめったに使いませんがあってもいいとおもいます。自作小説はそれこそ自由なんで

15:突然ですが『弾痕の様に今でも僕の胸を抉るこの痛みは』に続く文章を考えください。
>>弾痕の様に今でも僕の胸を抉るこの痛みは-情に棹差し流されるままに生きてきた僕自身への激しい憤りと後悔の象徴であり、この痛みが潰えることはすなわち、曲学阿世の徒となってしまった僕の愚かな生に確かな死を刻み付けるということなのである。

試験問題に出たら傍線1が引かれていそうですね
最近入試現代文で評論を読みすぎて自分が書く文章評論臭くなるんですよね…

16:自分の書く文章の良いところを教えてください。
>>好きなことを好きなだけ書いているんで良いところは特には…。

17:逆に悪いところを教えてください。
>>自分の文章は文才もへったくれもないですからね。そこをなんとかできたらしたいです^^

18:絵描きさんに憧れたりしますか?
>>憧れ…というか、すごいなぁ!!って感動します。

19:今後挑戦してみたい分野を教えてください。(ファンタジーやラブコメ等々)
>>ラブストーリーですね。

20:エロ重視?スト重視?
>>スト…?ストーリーのことでしょうか?知らず知らずの内に話が膨大な展開をしていることは多々…。苦笑

21:贔屓のCP要素を教えてください。(鬼畜×健気など)
>>万能×健気(?)

自分で言っててよくわからないとりあえず闇表ということで

22:お気に入りのCPがありましたら語ってください。
>>闇表!闇表!!(うるさい)あと未来日記という漫画でユノユキ。

23:あわよくば書籍化なんて狙ってる…?
>>狙ってないですよ!

24:仮に書籍化となった場合、イラストは誰に描いてもらいたいですか?
>>友人に絵が上手な子がいるのですが、自分の小説読まれるのは気が引けるので、えーっと………だ、誰か。←←

25:最後の質問です。創作小説サイトを運営している事に誇りを持っていますか?
>>え、うーん、誇り……。誇りではないですが楽しんではやっています^^

お疲れ様でした。
バトンタッチはご自由に。

素敵な創作lifeを。




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エムブロ!バトン倉庫
mblg.tv
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やっとバトンのやり方がわかったので人生で初めてのバトンをやってみました☆

こ、こんな感じで良いんでしょうか??

とにもかくにも、natsumeが言いたかったことは闇表が好きだというこt(ry

御粗末さまでした^^;
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