hanahami*

2024.4.14 Sun 23:18 :番外編:四季学警備委員の日常
二年五席 水精はるなの動揺

「よ、よかった……」
今日の委員会は話し合いだって聞いてたのに。一時はどうなることかと思ったけど、無事に終わってよかった。本当に。
確かに敬先輩は大会に出たことはないと仰っていたから、委員長って紹介されて、びっくりするのは分かるんだけど。認めない、とか、勝負だ、なんて。何か怖いな……。
「ハル、大丈夫か?」
天崎君の発言に震えていたときも、隣のいっくんが手をポンポンしてくれたけど、ずっと心配してくれてたみたい。うう、ごめんねいっくん。
「うん、大丈夫。ありがとういっくん」
「おう! あんまり無理するなよ!」
いっくんの笑顔が眩しい。幼馴染みだからって、いつも助けてもらって……ダメだなあ、私。せっかくここまでこれたのに、足を引っ張るような真似はしたくない。
「まあでも正直分かりきってたことっスけどね〜。何せ一部では『覇者狂い』とも呼ばれてるまっきーっスよ? 委員長がたかみー先輩じゃないって知った時点で、爆発必至っス」
座ったまま伸びをする福地君も、その隣で頷く服部さんも、何でもないように言う。
「然り。付ける薬はない故、放置でよい」
「福地君、服部さん……」
一年後期の冬梅戦の結果、五席入りが確定して寮を移してから、同学年のスター選手と話す機会が多くなった。今まで輝かしい姿を遠くから見るくらいだったから、まだ全然慣れてないけど、優しくしてくれているのは分かる。
「口出ししたら、余計ややこしくなるだけっスからね。名物の一つくらいの気持ちで見てればいいっスよ」
アドバイスをくれるのは嬉しいんだけど、私にはかなり難易度が高いかな……。
「妖精ちゃんは、あーゆーの苦手そうだもんねー」
はい、その通りです。ピリピリした感じも、怒った声も苦手です。
見鏡君はいつもの笑顔で、全然気にしてなさそう。
「暴風クンも悪い子じゃないからさー。センパイのこともっと知ったら、すぐに噛み付くってことはなくなると思うよー。今は納得できないだけでさー」
腹黒だって噂を聞いて怖いのかなって思ってたけど、優しい人だった。ごめんなさい。
「でも噛み付きはするんスね」
「人には相性があるからねー」
うん、敬先輩は優しいし私も大好きなんだけど、結構ほんわかしてるというか、ちょっぴり鈍いところがあるから、悪気なく天崎君の癇に障る発言をする可能性はあるよね。うん……。
「ハル?」
「覇者センパイ絡みだからああなっただけで、妖精ちゃんにどうこう言うことはないと思うから、二人が一緒にいなきゃ大丈夫だよー」
全国大会での実績がないのは私も同じだから、そこも不安ではあったけど、気付かれてたみたい。それを否定してくれたこと、いっくんが背中を撫でてくれたことで持ち直した。
「案ずるな。某の未来の伴侶となる男を倒し此の座に着いたのだ。胸を張るが良い」
「うん、ありがとう……って、え!? は、伴侶!?」
涼しい顔してすごいこと言った。え、伴侶ってつまり、旦那さんってこと!?
「とりっぴーはくっきーとお付き合いしてるんスよ。あ、くっきーっていうのは、『漆黒』の黒崎八紘っス」
黒崎君って、去年は警備委員で、「闇より生まれし者」って名乗ってる、あの黒崎君だよね?
自分のことを「忍者」って言ってる服部さんと、黒崎君かあ……。
「トテモヨクオニアイデス」
「ハル? 何か喋り方ヘンだぞ? どうした?」
いっくん、そこは突っ込まないで欲しかった、見鏡君と福地君は笑ってる。やめてください。
「はるな殿。少々話がある故、後程某の部屋に」
「ひゃい」
「お、二人とも、すっかり仲良しだな!」
頑張ろうって思ったばかりだけど、私、やっていけるかな……。


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