hanahami*

2024.4.16 Tue 23:52 :番外編:四季学警備委員の日常
二年四席 福地幸満の計画

みもりんと約束を取り付けたとりっぴーは、いつものように窓から出て行った。表情からは読み取りにくいけど、足取りから見るにご機嫌のご様子。一方、みもりんは怒られるとでも思ったのか、項垂れている。
「みもりん大丈夫っスよ。ああ見えてとりっぴー、うっきうきっスからね!」
「そうだねー。たぶん、女の子同士の話でもするつもりなんじゃないかなー?」
新しく五席入りしたみもりんは、なんというか小動物みたいな感じで、この学園では珍しいタイプだ。悄気たままでは可哀想だし、せっかく知り合ったなら仲良くなりたいので、フォローに回る。少なくとも半年間は、濃い面子に振り回される側だろうし。
「女の子同士の話?」
「そ。好きな人の話、とか」
おずおずと顔を上げて問うみもりんに、声を落とし耳元で答えるかがみん。好きな人と聞いた途端に口を押さえ顔を真っ赤にするみもりんを前に、いつものかがみんスマイル。うーん、イケメンの無駄遣い。
「俺らもそろそろ鍵閉めて戻るか?」
幸いにも、とりっぴーが木から木へ跳び移るところを眺めていたもっちーには聞こえていなかったようだ。もうちょいここで駄弁るのもいいけど、早いところみもりんをとりっぴーのところに連れていかないと、待ちくたびれたとりっぴーが戻ってきて、天井から顔を出すかもしれない。そしたら、みもりんがいいリアクションをしてくれるんだろうけど。
「そっスね」
「襲撃が来る前にねー」
「襲撃!?」
もちろん襲撃はかがみんの冗談で、たぶんオイラと同じく、とりっぴーが来ることを想定しているんだろう。矢文の方かもしれない。慌てて周囲を確認するみもりんに、気配を探っても特に脅威を感じないからか首を捻るもっちー。二人とも、素直っスねえ。
「とりっぴーのことっスよ」
そう言えばもっちーは納得したらしく、みもりんに帰寮を促した。

「かがみん、もっちー、オイラも男子会したいっス〜!」
寮に戻る途中二人に提案してみた。食堂が開くまで時間もあるし、もっちーにそれとなく、探りを入れたいこともある。かがみんがいれば百人力だ。あとは単純に、一緒にいるのが楽しい。
「おう! いいぞ!」
「誰の部屋にするー?」
「じゃあ今日はオイラの部屋で! みもりんも、女子会楽しんでくるといいっスよ!」
それで、次は二年会ができたらいい。みんなでわいわい騒いで、いっぱい笑って。時間は有限なのだから、楽しんだ者勝ちだ。


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