前半戦〜♪
今日中に上げるのは無理かもしれない…と弱気になる;;が、頑張る〜!
皆さんの拍手やコメントが元気の元です♪
続きから。
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お話未満の妄想&書きかけお話の倉庫。ここで上がった話は大概大幅に加筆修正を加えられサイトにUPされます。
前半戦〜♪
これまた、振り出しに戻ったかのような、展開。
「こ、これ、どうなってんの〜」
土門が悲鳴を上げる。キラースライドのようなタックル技が、どうして攻撃に転化されるのか。
佐久間の持つボールを取りに行ったら、逆にキラースライドで吹っ飛ばされる。当該技は、ここまでど派手な衝撃は生まない筈なのに。
帝国の赤いマントが、はためく。
「イリュージョンボール!」
ザ・ウォールを発動しようとしていた壁山に、イリュージョンボールが何度も何度も痛烈な打撃として襲いかかり、耐えきれなくなった巨体が数メートルも跳ばされた。これは、ボールの幻影を見せてボールをキープする技であり、攻撃性はないはずなのに。
「サッカーを、汚すな…」
円堂の声が、地を這う。
まだ、ゴールに至りこそはしていないものの、試合は帝国が一方的に支配している。
そして、ついに、帝国がその破壊の意志を発露した……。
「帝国の天譴を受けろ…円堂!」
佐久間の叫びと共に、緑のフィールドの水面に顔を覗かせる朱赤の皇帝の名を持つ鳥達は、その凶暴な気迫そのままに蹴り足に噛みつき。
「皇帝ペンギン1号――!」
シュートに圧倒的な破壊の力を添えて、雷門ゴールに殺到する。
何と、渦々しい赤。そして凶暴な力……だが、円堂は負けたくなかった。
「ゴッドハンド!」
渦巻く朱金の光、それを止める意志で手として顕現する。
「姫さん!」
異様だった。以前の帝国戦で豪炎寺とやりあいになった時にも、彼の光が朱に染まった、が……これは!
朱の鳥は、その禍々しい赤を一際輝かせ光の手の指ひとつひとつを破壊した。
「う…わ――ッ!」
圧倒的な熱と重みが円堂の腹に食い込み、ボールは円堂ごとゴールネットを大きく揺らす。
《ゴーール! 真・帝国学園先制ーーッ!!》
「円堂ッ! 大丈夫か?」
なかなか起きあがれない円堂を心配した風丸が、その手を持って起き上がらせた時――歓声を切り裂くような悲鳴が上がった。
「うわぁあーーッ!!」
「佐久間ッ!」
そう、苦痛に悶絶する、彼に唯一心配の声を上げたのが、円堂だというのも、異様だった。帝国はレギュラー争奪が激しく、チームカラーも冷たく思われがちだが、実際そのようなことはない。それは、帝国中枢と適度な距離を持っていた円堂が一番良く知っている。
「何なんだよ、この皇帝ペンギン……」
皇帝ペンギンシリーズは、元より対ゴッドハンド用に開発された技。円堂もその秘密を全く預かり知らない……。
「今更、情に訴えて命乞いか、赤荊?」
「違う…っ!」
その時、彼の非情の盟主が言葉を下賜した。
「よくやった、佐久間…お前の犠牲は、尊い」
佐久間は、片膝をつき頭を垂れ、鬼道に忠誠の言葉を捧ぐ。
「はい、例え、この足が砕けてしまおうとも、この赤荊を仰ぐ雷門を滅ぼすまで、俺は、何発でも放ちます…」
鬼道は、指を一本立てた。
「後一本…これが、限界だ。二本目を打てば、確実に再起不能になる」
「それでも、この帝国の逆賊を滅ぼすまでは」
豪炎寺以外の雷門の者が震え上がる。
全てが狂っていた。
試合ひとつにそこまで負担のかかる技を発動させる佐久間も、その大きすぎる犠牲を尊びながらも王者の道には必然と受け止める鬼道も、それに異を唱えない帝国のみんなも……。
「影山、許せない…」
加えて、土門には、この赤荊も、その狂気に引き擦られているような気がしてならない事も恐怖に輪をかけた。気のせいでない、あの憎しみに染まった光が……。
そんな土門に、豪炎寺が、目配せして頷く。彼には、この状況を打破できる力と覇気がある。ようやく、少しだけ息をついた。
「円堂、アイツにシュートを打たせる暇など与えない」
「頼んだぞ、豪炎寺」
雷門ボールで試合が再開される。
一ノ瀬が試合を組み立て、フィールドの魔術師の名を如何なく発揮しボールを奪われることなく、染岡へ繋げた。
「ドラゴン…」
染岡の青い龍が、
「トルネード!!」
豪炎寺の左足を受けて熱く燃え上がる――赤い灼熱の龍が帝国ゴールに牙を剥いた。その威力も、以前より格段に上がっている。パワーシールドでは、止められない。
染岡も豪炎寺も、ゴールを信じて疑わなかった。
しかし、禍々しい光を孕ませた瞳を笑みに歪ませて、源田が両手を上下に突き出し、気合いの声と共に技を発露する。
「ビーストファング!!」
またしても赤黒い光が、放たれ――まるで、獣に食われたようにシュートの威力が殺され受け止められた。
「何だと…!」
豪炎寺の切れ長の瞳が、源田が苦悶に呻き膝をつくのに大きく見張られる。
「コイツも…か…!」
自らの選手生命をかけるような負担の大きい技――こんなものをこちらがシュートする度に使われては。
風丸が、叫んだ。
「円堂、どうする!? これじゃ、下手にシュートも出来ないぞ!!」
円堂が、何かを答えかけた、その時。
カウンターから、またしても赤い凶悪な鳥が、佐久間の蹴り足に食らいついていた―――二度目の皇帝ペンギン1号!
「止めろー! 佐久間ッ!」
頭に血が昇る。
帝国の選手を駒か何かとしか思わない、影山の勝利に対する執着が許せない。
足腰に力を入れて、胸にこごる気を解放する――それは、朱赤の魔神として浮かび上がるが、キャッチで手を伸ばした瞬間、いともあっさり霧散した。
《入ったーッ! 真・帝国2点目!》
佐久間の悲鳴に芝を握りしめ、唇を噛みしめる。
前半終了の笛が鳴った。
【続く】
いきなりで悪いのですが、多分誤字だと思われます、佐久間のセリフが、「帝国のてんついをうけろ」になってます。多分、鉄槌だとおもうのですが・・・・
初めまして、いつも読んでくださいましてありがとうございます。
誤字の件ですが、実は『天譴(てんけん)』と打ちたかったのです〜鉄槌はキャプテンの技ですから、キャプテン側が使う時のみにしたいなあ、と。意味は天罰と同じようなものです。
ちょっと、メインで使っているポメラちゃんがあまりに賢くないので平仮名で書いては、度々PCで打ちかえるのを忘れてしまうんですね…(^^;)
……というか、ということで、どのみち誤字なのでした〜;;
ありがとうございました〜;;