主人公コラボ死ネタ第二段です。
立場逆転でやってみました…
まさかの心中エンドですすみません←おい
フィアとヒトラーさんで指を組ませて…って図が絵になるだろうなぁと思って…
本当にすみませんでした…!
*attention*
主人公コラボです
死ねたです(さっきのと立場逆転)
まさかの心中エンド
フィアが珍しく沈んだ思考になった末の反抗です←おい
美人さん二人での心中って絵になるな、と思いました←こら
相変わらずの妄想クオリティ
ヒトラーさん、ごめんなさい
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
―― すべては何処から決まっていたのだろう。
ぼんやりと霞む意識のなか、フィアは考えた。
自分を抱き止めているのは、華奢な腕。
感じる魔力は痛々しいもの。
少し視線を泳がせれば、自分を見つめる紅の瞳とかちあった。
泣き出しそうに潤んでいる、彼の瞳……
フィアはそれをみて、小さく息を吐き出した。
竜が苦手なフィアが竜の討伐任務に赴いたこと自体が間違いだったのか、
はたまたそれに同行したのが他部隊でも尊敬する相手、
ヒトラーだったのが悪かったのか。
何も、わからない。
ただひとつ、わかるとすれば……
―― 多分、俺はもう死ぬんだろう。
フィアは、そう感じていた。
もう、傷の痛みはほとんど感じない。
感じるのは、自分を抱いているヒトラーの震える腕と、
彼が無意識にか放出している冷たい魔力ばかりだった。
***
―― こうなった経緯はと言えば。
遡ること、数時間。
フィアとヒトラーは二人で竜の討伐任務に赴いていた。
正直フィアは竜があまり得意ではない。
ヒトラーはそれをずっと気にかけていた。
幼い頃に両親を竜の所為でなくしているフィアにとって、
その獣を倒しにいくというのは、相当の負担だろうと思って。
「本当に大丈夫か、フィア」
「えぇ、大丈夫です」
道中、ヒトラーは何度も問いかけた。
フィアはそのたびに笑顔を見せて頷いた。
しかし、それが本当の笑顔でないことくらい、ヒトラーにも理解はできていた。
事実、フィアはそう答えはしたけれど、全く怖くないのかと聞かれたら答えはNOだ。
怖いし、いきたくない。
でも、一緒にいるのがヒトラーだから大丈夫だ、という気もしていた。
フィアは夜鷲の騎士ではない。
彼の直属の部下ではない。
けれど、優しくて勇ましい彼のことを、ずっと尊敬していた。
初めて出会ったときは警戒したりもした。
この人が苦手だと思ったりもした。
けれど、彼を知れば知るほどに、それは誤りだと理解できるようになって。
自身と対立する魔力を持つ人。
漆黒の翼を持ち、黒い魔力を操る人……
けれど、ヒトラーに悪魔何て言葉は似合わない気がしていた。
―― だって。
彼は、優しかったから。
少し脆くて危なっかしいところもある人だけれど、それも全て仲間を思うが故。
フィアは、仲間は、それを知っている。
だから、こうして共に任務に赴けたことを誇りに思っていた。
「いたぞ……」
不意にヒトラーが足を止め、低い声でいった。
フィアも足を止め、息を潜める。
森の奥。
低い唸り声をあげる竜の姿を発見した。
体は、フィアたちより何回り大きいのだろう。
凶悪そうな口に並ぶ牙には、先刻補食したのだろう獣の血がついていた。
「いきましょう、ヒトラー様」
合図を出して、フィアは竜に飛びかかっていった。
剣を抜き、魔術を放って、竜を牽制する。
ヒトラーはその援護のために悪魔属性の魔術を使った。
この竜に特殊属性の魔術は効かない。
そういう風に改良されているのか、魔術が効きづらいタイプらしい。
それが事前の調査でわかっていたため、二人は武器で攻撃を続けていた。
武器、といってもヒトラーの場合は魔力を込めて撃つ銃。
実質ダメージを効率的に与えられるのはフィアの魔術剣だった。
幾度剣を竜にぶつけ、幾度竜の攻撃を躱しただろう。
フィアもヒトラーも次第に息が上がり始める。
それでも負けるわけにはいかないからと、二人は必死に応戦し続けた。
フィアが剣を振るい、ヒトラーが魔力を放つ。
ヒトラーの悪魔の魔力は竜の動きを一瞬止めたり、視界を塞いだりしていた。
獣にとってはそれが煩わしくて仕方ないらしく、幾度も狂ったように吠えていた。
フィアはその隙をついて、攻撃を仕掛けていた。
「いい連携だな」
「ありがとうございます、ヒトラー様」
フィアとヒトラーは時に背中合わせに、時に向かい合わせになりながら戦った。
連携を組むことはあまりない二人だったが、コンビネーションは良い。
対立する魔力を持つものながら、互いのことはよくわかっている。
相手が右に出ると思えば自身は左へ動き、攻撃を繰り出す。
その逆もまたしかり。
魔術の扱いも二人ともうまかった。
あと少しで竜をも追い詰められる。
ヒトラーもフィアも気を抜くつもりはなかった。
しっかりと、意識していたつもりだった。
―― その時だった。
「!ヒトラー様っ!」
フィアは鋭く彼の名を呼んだ。
ヒトラーは視線をあげて……目を見開いた。
迫り来る、竜の巨大な身体。
スローモーションにさえ感じた。
危機感で、体が動かない。
その時。
強く、体を突き飛ばされた。
ヒトラーは長身のわりに体躯が華奢だ。
共に来た騎士……フィアでも、十分に突き飛ばせるほどに。
竜とて、馬鹿ではない。
攻撃を仕掛けてくるのがフィアだと言うことを見抜き、
後ろから煩わしい魔力をぶつけてくるヒトラーは攻撃しないことを悟った。
そうなれば、狙うべきはどちらか……
竜は考えヒトラーを襲うことにしたようで。
ヒトラーは剣術があまり得意ではない。
フィアと訓練をするようになったのもつい先日だ。
竜にもそれがわかったのだろう。
だから、フィアを狙うより先にサポートのヒトラーを討って、
フィアのガードが弱くなった隙に攻撃しようと思ったのだろう。
突き飛ばされたヒトラーはからだを強く打った。
全身に痛みが走るが、それはあくまで打ち身のレベル。
それ以上に彼を凍りつかせたのは……
「……っ!」
なにか鋭いものが肉体に突き刺さる音。
パッと地面に飛び散った赤色。
剣をつきだしたまま固まる、共に戦っていた少年……
彼の背中には大きな翼が開いていた。
純白の翼。
反射的に、天使化したのだろう。
ひらり、と白い羽が地面に散った赤い血の上に落ちた。
「……っ失せろ」
小さく呟くフィアの声が、ヒトラーにも聞こえた。
竜の体が地面に崩れる。
フィアがつきだした剣は的確に竜の胸を貫いていた。
ヒトラーを狙って突進してきた勢いでフィアの剣に当たったならば、
恐らく、ひとたまりもなかっただろう。
それだけならば、良かった。
ありがとう、とフィアにいって終わりにできた。
しかし……
「は、ぁ……っ」
荒く息を吐いて、フィアはその場に座り込んだ。
彼の胸から腹にかけて、大きな傷がついていた。
溢れだした血が彼の白い騎士服を濡らす。
「!フィアっ!」
暫し呆然としていたヒトラーは慌ててフィアに駆け寄った。
倒れかけたフィアの体を支えて、目を見開く。
深い傷が彼の服の裂けたところから見えた。
フィアは自分を支えているヒトラーを見上げた。
揺らぐサファイアの瞳がヒトラーをとらえる。
「ヒトラー様、大丈夫、でしたか……?」
フィアは小さく咳き込んでからヒトラーに訊ねた。
ヒトラーは小さくうなずく。
声が、でなかった。
けほ、と咳き込んだフィアの口元に血が流れる。
竜の爪は思いの外深くまでフィアの体を傷つけたのだろう。
荒く、浅い呼吸。
次第に冷えていく体。
瞳に灯った瞳が、少しずつ薄くなっていく。
命が消えていくのを目の当たりにしている気がした。
ヒトラーはその様をみて、瞳を揺るがせた。
「あ、あぁあ……っ」
声をあげているのが自分だと、ヒトラーは気づけなかった。
震える声で、言葉にならない声をあげるヒトラー。
大きく見開かれた紅色の瞳。
震える身体。
周囲の木々が大きく揺れた。
「っ、ヒトラー、様……っ」
フィアは彼の名前を呼んだ。
感じるのは、彼の魔力。
いつもよりかなり強い、悪魔の魔力だった。
彼の魔力は、人間の負の感情に反応して強さを増す。
悲しみ。
苦しみ。
切なさ。
そして……絶望。
頭の良いヒトラーには理解出来た。
治癒術も使えない自分ではフィアの傷を癒せない。
どんなに急いで城に戻ったところで間に合いそうにない。
既にフィアの意識が混濁していることには気づいていた。
……もう、助けられないと。
「すまない、すまない、フィア……ッ」
震える声でヒトラーは詫びる。
自分の、所為だ。
自分がもっと上手く戦えれば。
自分がもっと強ければ。
ちゃんと、フィアを守れたのに……
強くなる、ヒトラーの魔力。
仲間を目の前で失おうとしているという絶望。
自分の所為で仲間を失いかけているという絶望。
「ヒトラー、様……」
フィアは掠れた声で彼を呼んだ。
震える指先で、フィアの口元に流れた血をぬぐう。
「フィア、私……は」
「ヒトラー、様、落ち着いて、くださ……」
ダメだ、というようにフィアはヒトラーの手を握る。
今のヒトラーが魔力を暴走させかけていることに気づいた。
このままでは、全てを破壊してしまう、と。
どうしたら良いだろう、とフィアは悩んだ。
このままでは、ヒトラーは絶対にすべてを壊してしまう。
自分を死なせてしまったという負い目から。
その、絶望から。
「フィア、嫌、嫌だ、私は……っ
お前、一人を死なせるくらいならば、いっそ……――!」
いっそ、自分も。
ヒトラーは、そう呟いた。
大切な仲間を自分の所為で一人で死なせるならば、
いっそのこと、自分も死んでしまいたい、と……
自分が死ぬことはなんとも思わない。
誰かを守って死ねるならば、その方が良いと思っていた。
しかし、仲間を死なせるのは嫌だ。
守りたい。
守り抜きたい。
そう思っているからこそ、彼の絶望は相当なもので……
フィアはその言葉に首を振った。
ダメだ、と。
貴方がいなくなったら、騎士団はどうなるのだ、と。
しかし、もうヒトラーには聞こえていない。
彼の背には大きな黒い翼が開いていた。
二人の相反する魔力がぶつかり合って、周囲の木々がおれそうに揺れる。
―― ああ、駄目だ。
このままだと、駄目だ。
そう思った。
「ヒトラー、様……」
フィアは微かな声でヒトラーを呼んだ。
涙に潤んだ紅色の瞳がフィアを見つめる。
フィアは上手く動かない体を強引に動かして、ヒトラーの頬に触れた。
悪魔の魔力を感じて、痛みを感じる。
けれど、いずれにせよ命が尽きるのは目に見えていた。
だとしたら。
だと、したら……
これ以上彼が何かを破壊して傷つく前に。
彼がこれ以上、大切なものを傷つけることをする前に。
「ヒトラー様……俺、と……一緒、に……」
―― 死んでくれるか、なんて。
何て馬鹿なことを訊くのだろう、とフィア自身が思った。
先程ダメだ、といったばかりなのに。
彼……ヒトラーが騎士団に必要な存在と知っているのに。
けれど、ヒトラーの優しさを、そして脆さを知っているフィアには、
彼を放っておくことができなかった。
このままでは、彼が望まぬ暴走をしてしまう。
恐らく、それを止められるのは自分だけだろう。
けれど、フィア自身はすぐにでも命を落としそうになっている……
それならば。
命がつきるより先に、彼のことも……
殺めてやった方がましではないか、と思ったのだ。
そうすれば、彼がこれ以上に誰かを傷つけることはなくなるから、と。
ヒトラーは涙を溢しながら、フィアの手に自分の手を重ねる。
「私は、もう……っ」
なにも傷つけたくない。
なにも失いたくない。
ヒトラーは暴走しかけの状態で、そう呟いた。
フィアはそれを聞いて、覚悟を決める。
「……ごめん、なさい」
―― 貴方を守るためには。
「ヒトラー様、……貴方の優しさを、俺は……」
―― きっともう、こうするしかないから。
「ずっと、尊敬……して、います」
―― 貴方を殺める罪は、私が背負うから。
フィアはそう告げて、ヒトラーの手に自分の手をあわせ、指を絡ませた。
そして、彼が放っているのと同等の魔力を放出した。
天使の魔力は悪魔には毒。
悪魔の魔力は天使には毒。
けれど、相手の魔力がなれた仲間の魔力だからか、
二人とも、さして苦痛は感じなかった。
次第に、意識が霞んでいく。
ヒトラーはフィアの蒼の瞳を、フィアはヒトラーの紅の瞳を見つめる。
「ふぃ、あ……」
ヒトラーの瞳から少しずつ光が消えていく。
ヒトラーは一度だけ微笑んで、フィアの名を声にならない声で呼んだ。
フィアはそれに答えるように、微かに笑みを浮かべた。
白と黒の翼が、交わる。
そのまま、二人の体は地面に倒れた。
重なりあった、二人の手。
いつしか空には月が昇り、二人の躯を、地面に散った白と黒の羽を照らしていた。
―― 月と白黒の羽 ――
(舞い散る白黒の羽と月明かり)
(あわせた手が冷えていく 弱まっていく魔力)
(この結末は最悪の終焉と知っているけれど
貴方を守るためにはそうするしかなかった)