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第一話「色欲」
「ちょっとアリスに話があるわ、後で神社に」
唐突に霊夢に呼び出された私は神社にいた。
「何よ、呼び出しといて…いないじゃない」
神社を見渡しても彼女らしき姿は無い。
どうやら出掛けているようだ。
しょうがないので私は神社の縁側に座って待つ事にした。
「…話って何かしら。」
最近、あまり霊夢と関わりが無い。
だから唐突に話があると言われても
思い付く節は無かった。
「…まぁいいわ、考えていても分からないよね」
景色を眺める事にした私は遠くの方を呆然と見ていると神社の社にこちらに向かって歩く人影があった。
「…霊夢?いや違うあれは…」
その人影の姿を確認するとその姿は見慣れているものだった。
「こんにちは、魔理沙」
私は魔理沙に挨拶をした。
「アリスっ!?」
私の姿を確認にした魔理沙は予想以上の反応で驚いていた。
「何よ、そんなに驚いて」
私は魔理沙の大きな反応に疑問を抱いた。
「い、いやぁ…こ、こんにちはアリス」
魔理沙は何かをはぐらかすように挨拶をした。
そんな魔理沙の応答に少し不満を抱いたが、魔理沙が神社に来た事への疑問もあったので
そっちを聞いてみる事にした。
「あぁいや…ちょっと霊夢に用があってな?ま、まぁいないみたいだけど…」
魔理沙は何かを隠している感じだった。それを察したが事情があるのだろう。
あまり触れない方が良いかもしれない。
「魔理沙も呼び出されたの?」
「え?何の事だ?」
どうやらこの反応。私と同じ様に呼び出された様では無いらしい。
「私、霊夢に呼び出されてさ」
「ア、アリスも霊夢に用があるみたいだな、えーと…な、なら私は一旦帰るぜ」
魔理沙は何故か慌ただしくしていた。
「え?魔理沙も霊夢に用があるんでしょ?なら一緒に用を済ませちゃおうよ」
「い、いや…私はいいぜ?霊夢と二人じゃないと意味が無いから」
二人じゃないと意味が無い…?
その事についての疑問を抱いたが、触れてはいけない内容だと察して、それ以上については関わらない事にした。
「そう…じゃあね、魔理沙」
私は愛想笑いを浮かべた
「うん」
魔理沙は颯爽と神社を後にした。
… … …
『霊夢と二人じゃないと意味が無いから』
私は魔理沙の発言を思い出した。
二人じゃないと意味がない…
それはつまり…
「…霊夢に告白でもするのかな」
私は無心ながら呟いた。
…って告白!?魔理沙が霊夢に?
そ、そんな訳ないよね…?
でももしそうだとしたら…
「魔理沙は霊夢が好きと言うことになる…よね」
そうだとしたら辻褄が合う。魔理沙がさっき慌ただしくしていたのも
告白を悟られないかと思っていたからだろう
私を見て驚いたのは、霊夢に告白しようとしたのに私がいたから
辻褄が合いすぎている。
そうか…魔理沙は霊夢の事、好きなんだ。
「…なんか…やだな…」
魔理沙が霊夢といて幸せなら、私はそれを支えてあげたい。
何より魔理沙が幸せでいてくれる事が、私の幸せだから
でも…
その筈なのに…
涙が…止まらない…
「大丈夫?アリス」
目の前で声が聞こえた。
俯いて泣いていたので目の前に人がいた事に気づかなかった。
目の前の人の姿を確認しようと顔をあげる
「霊夢…」
今一番会いたくない人。
…でも会わなくちゃいけない人。
博麗霊夢はそこに立っていた。
やだ…泣いてるとこ見られた…
「はい、これで涙拭きなさい」
霊夢はハンカチを差し出してくれた。
それを受け取った私は目元から涙が伝った頬まで
泣いた痕跡を残さない様に丁寧に涙を拭いた
「ありがと、もう大丈夫」
私は少しばかりの作り笑いを見せて安心させようとした。
でも全然口元が上がらない
逆効果でむしろ心配を装った
「嘘、…大丈夫?何があったの?」
霊夢は私の隣、縁側に腰を下ろし優しく声をかけてくれた。
でもその優しさが今の私に取っては苦痛でしかなかった。
「霊夢…ごめんね」
私は心配して覗き込む霊夢の…
唇を奪った。
その感触は柔らかくて、でも切ない感触。
私は霊夢の瞳を見た。
霊夢は目を少し見開いて驚いているようだった。
「ばか…」
霊夢は顔を赤くして涙目になっていた。
そして続けて霊夢は言った
「…初めての癖に」
私を見るその瞳は切なかった。
私はそんな霊夢の心を踏みにじるように押し倒した
そして霊夢の首筋を強く吸った
「あっ…」
霊夢は突然首筋にキスをされて思わず声を漏らした
「私…サイテーだね、…サイテーだよ」
「アリス!?やめ…て…」
私は霊夢の口に舌を絡めた
「んっ…!」
霊夢の感じている声を聞く度に罪悪感が芽生えた。
でも私はやめない
好きだから
━━━━━霧雨魔理沙が
… … …
気付けば私は布団を被って眠っていた。
「アリス、おはよう」
私に対して放たれた声、その声の方に目を向けると二人分の食事を手に持った霊夢がいた。
「…霊夢?…私何でここに…」
「…あなたあの後…色々あったんだけど、そのままウチで寝ちゃったのよ」
あの、というのは恐らく昨日の霊夢とのキスの事だろう
「…昨日はごめんなさい」
私は無理矢理霊夢のファーストキスを奪い
勝手に消えないであろうキスマークをつけた
その罪は謝って済む問題ではない事は私自身、理解はしていた
「いいのよそんなの、それはお互い忘れましょ?」
霊夢はニコッと笑い、手に持つ食事の一人分を私のすぐ横に置いてくれた。
霊夢の優しさが私の胸に痛い程感じられた。
その優しさがあるから…
魔理沙は私じゃなく、霊夢を選ぶんだ
悔しいけど、魔理沙が霊夢を選ぶ理由も理解出来た。
「そういえば昨日…その…キスした後の記憶が曖昧なんだけれど…私、あれ以上の事…した?」
私は忘れようと言ってくれたにも関わらず、また昨日の話題を出した。
本当に無神経だな、私って
「う、ううん…あの後アリスはずっと泣いてて、泣き疲れて寝ちゃったんだよ」
霊夢の応答を聞いて安心をした。
もしあれ以上の事をしていたら…
本当は魔理沙にあげる筈の初めてを全部奪っちゃう事になってた。
霊夢は静かに私の横に座って持ってきた自分用のパンを食べていた。
そんな霊夢に私はまた昨日話題を持ちかけてしまった。
「私ね…昨日のは、霊夢が好きだからじゃないの」
それはお互いを傷付ける内容だとわかっていた。
…けど、言わなくちゃいけない気がしたんだ。
「うん」
霊夢は静かに相槌をうった。
多分相当堪えてくれてるんだと思う。
「私…魔理沙が好きなの…」
「うん」
「…だから、他の女性の初めての相手が大好きな魔理沙になる事が嫌だったの」
「うん」
真実を語る度に胸がひどく痛んだ。
私は今にも流れそうな涙を必死にこらえた。
泣いちゃったら多分、霊夢も堪えられなくなっちゃうから
「…だから…霊夢の初めて、奪っちゃったの」
「…そっか」
私は涙を等々堪えられなくなってしまった。
一度溢れ出すと涙は止まらなくなった。
「…サイテー…だよね」
「…そだね」
霊夢も同じように涙を流した。きっと私より彼女は傷付いているだろう
霊夢はサイテーという言葉に素直に応答してくれた。
多分それは私の事を思ってくれての事なんだと思う。
「…霊夢は優しいね」
「…うんっ…」
霊夢は私に飛び付いてきた
涙を堪えきれずに私の胸の中でおもいっきり泣いた。
「…うわぁぁああんっ!」
「…頑張ったね」
私は泣いている霊夢に、そんな発言しか出来なかった。
私はゆっくり霊夢の肩を抱きしめた。
… … …
しばらくすると二人は泣き止んでいた。
「…もういいよ」
霊夢が私の胸の中でそういった。
私は霊夢を抱きしめた腕を離した。
「…アリス、聞きたい事があるの」
落ち着いた霊夢は真剣な赴きで私を見てきた。
「…何?」
「あなた、魔理沙が私を好きなんだと思ってる?」
霊夢は何故か私の解釈が間違っている様な言い方をしてきた。
「違うの?」
私はすがる思いで霊夢に答えをせかした。
「魔理沙、最近よく私の所に来るのよ」
霊夢は何かを語ろうとしている様だった。
それを理解した私は黙って聞く事にした。
「何故魔理沙は私の所に来るか、分かる?」
「霊夢が…好きだから?」
「それは違うの」
その発言を聞いて私は驚いた。
霊夢はそのまま続けた
「魔理沙は私に相談しに来てるのよ、それも恋愛相談」
恋愛相談…それで魔理沙は霊夢と二人じゃないと意味が無いと言ったのか
…という事は…
「霊夢の他に好きな人がいるって事?」
「えぇ…その好きな人っていうのが…本人には口止めされてるんだけど…」
霊夢は一度深呼吸をした。
「アリス、あなたよ」
「えっ…?」
霊夢が言った人物は予想外だった。
「わ、私!?」
「…うん」
私は途端に身体中が熱くなるのを感じ取った。
でも確かにそれは辻褄が合うかも知れない
私を見て魔理沙が過度に驚いたのは
恋愛相談の対象だったから
そうか…
そういう事だったのか…
「…じゃ、じゃあ今までのは私の勘違い!?」
「…そうだね」
そんなのって…
私は魔理沙に好かれている事に対しての嬉しい気持ちと今までの事への罪悪感で複雑な気持ちになった
「…私、魔理沙にあって正直な気持ちを言う」
私は決意をした。
魔理沙の気持ちを知った後っていうのはズルいって分かってるけど
今言わなきゃダメな気がした。
私は即座に立ち上がった。
「…私、魔理沙の所へ行く」
私はそう霊夢に告げると歩き出した。
「待って…っ!」
霊夢は私の腕を突然掴んできた。
「霊夢…?」
「いかないで…アリス…」
霊夢の顔を見ると再び霊夢は涙目になっていた。
「私…アリスが好き…」
霊夢はそういうと
私にキスをした。