綺麗な横顔。
私はいつだって貴方の横顔ばかり見ていた。
でもね。
本当はまっすぐに私のことを見てくれる正面の顔が好きだったんだ。
日常のふとした瞬間を切り取った時に現れる
「きれい」が好き。
夜中にコンビニまでアイスを買いに行った時に、信号に照らされた貴方の瞳とか。
お風呂上がりの水が滴った毛先とか。
乾燥した唇に塗るリップの艶とか。
「見過ぎ。」って咎めつつ柔らかく笑う貴方が好き。
「雨の匂いがする」って言うから。
「よく分かるね。」って言ったら。
「分かるよ。匂いに敏感だから。」って言われた。
そのまま私の髪の毛に指先をくるくると巻きつけてきて、
「だから、歳をとって目が見えにくくなったとしても、君が近くにいてくれるのが分かるよ。」って優しい顔で笑う君は、今でもズルい。
普段愛情表現とかしないし。
好きか聞いても「はい」しか言わないくせに。
床にあったゴミ箱にぶつかって、
「ごめん!」ってゴミ箱につい謝っていたら。
笑いながら優しい顔して、
「そういう所が堪らなく 好きですよ。」って言う君はズルい。